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# 防衛本能

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「防衛本能」

 

 教え子君のお母様から相談がありました。「ウチの子なんですけれども、できた!できた!って、テストの手応えは報告してくれるのですが、いざ返却された答案を見せてもらうと全然点数がとれていなくて…」。世のお母様方共通のお悩みともいえる怪奇現象ですね(笑)。お母様にしてみれば、「いい加減なことばかり言って、テストのことを真剣に考えていないから、ウソの報告をしても平気で、ごまかしてばかりいる!」と怒りたくなるのでしょうし、教え子君にしてみれば「できた!と思ったから素直にできたって言っているだけで、ウソでもなんでもない!」と、悪気はないし、むしろ自分のことを信用していないのか!と悔しい気持ちにすらなっていることでしょう。まあ、両者の言い分が折り合わないからこそ、私のところに相談に来たのでしょうからね。ここは第三者にお任せくださいませ。

 実際の答案を見せてもらったのですが、お母様の言い分はもちろんですが、教え子君の言い分にも、「そういうことか」と理解できるところがありました。つまり、どちらにも理屈があった上で発言していることが分かったのです。お母様の言い分の方は皆さんにも簡単に理解できますよね。「全然点数がとれていない…」という話ですから、実際に数字になって現れている事実があります。例えばテストの平均点が80点だったとしましょう。それに対して、教え子君の点数が70点だったとしたら、「点数がとれていない」と指摘することは間違っていませんよね。これは分かります。では教え子君の「できた!できた!」という報告は何だったのでしょうか?答案を見せてもらって気づきました。確かにできているのです。でも点数は70点しか取れていません。さてこれは一体どういうことでしょうか?

 教え子君の答案の特徴はこうです。解答を書き込んだ部分はほぼ全問正解なのです!バツになっているところは空欄で提出してしまっています。教え子君にしてみれば「書いたところは全部できている」という意味で、テストの手応えを報告したというだけなのです。それでもお母様は納得されませんよね。「先生!困ります。それはできていないということでしょう!」と、教え子君の理屈を支持しているようにみえる私に対して、お母様の怒りの矛先が向いてきているようです。「これはですね、人間の習性ともいえるので、一概にダメ出しはできないのですよ。いわば防衛本能のようなものでして…」という説明にお母様はさらに困惑されているようです。

 詳しく説明したいと思います。ここでいう「防衛本能」というのは、自分の身を守るためにとる行動様式だという意味で理解しておいて下さい。人間誰しも失敗をおそれます。けれどもミスをしない人間なんて存在しません。それでもノーミスでクリアしたい!という思いはあります。そうするとどうなるのか。ミスをしない唯一の方法があります。それは、チャレンジをしないということです。やってみなければいいのです。「失敗したくない!」という自分を守る気持ちが強くなると、そもそもやってみようとしなくなります。「防衛本能」と表現したのは、そういう意味です。教え子君にしてみれば、「答案を書いても、どうせ間違っているくらいなら、書かないでおこう」という結論に至るわけです。

 「答案を書かないでどうやって得点するんですか!」というお母様の指摘はもっともです。「間違えた答えを書かなかった」というだけで「テストができなかった」という事実は変わりません。私も教え子君に問題がないと言っているわけではありませんからね。安心してくださいませ、お母様。ただ、ちょっと大げさに「防衛本能」と表現したことには訳があります。中学生の頃の特徴として「極端にミスをおそれる」という傾向があるのです。失敗したくないという気持ちが強すぎて、チャレンジを避けてしまう。逃げちゃダメだと分かっていても、ついそうしてしまう。「本能」と表現した意味はそこにあります。

 ですから、それぞれにアドバイスが必要になるのです。先ずはお母様に。思春期のお子様のメンタリティーは不安定です。ゆれる思いを常に抱えています。大人の一般常識で追いつめてしまっては、逆効果になります。お母様の「正論」を伝えたら、あとはできるだけ本人に任せてあげてください。信用してあげてくださいね。そして点数を上げるのは、われわれにお任せください!

 教え子君に対しては、塾の先生だからできる強烈な指摘があります。「これでは合格できない!」というものです。「本番で失敗したくなければ、今のうちにかける恥はかいておけ!」というアドバイスのもと、「練習でこそ全力でミスしろ!」と実践させます。自分に言い訳をしないで自分に足りないところを見つめること。それは成長に欠かせない要素ですからね

 

 

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