文の会ブログ

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# リベンジ

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 「リベンジ」

 

 「今回のテストは失敗してしまいました…。次回はリベンジします!」。教え子君がよく使うセリフですが(笑)、文化庁が実施した「国語に関する世論調査」でも、このリベンジをはじめとするカタカナ言葉の使用頻度が高まっていることが明らかになっています。「同じような意味の漢字とカタカナ言葉で、どちらを主に使いますか?」という調査項目があるのですが、リベンジは実に61%が「使う」と答えたそうです。それでは皆さんに逆に質問です。リベンジを使わずに、同じような意味を漢字で表すとすれば何になるでしょうか?正解は「雪辱」です。「せつじょく」と読みますよ。「そんな言葉使いません!」という声が聞こえてきそうです。それもそのはず、世代別に見ると30代以下のカテゴリーでは八割以上がリベンジを使うと答えているのですから。皆さんたちの世代にいたっては、その割合はもっと高いと考えていいでしょう。

 筆者にしてみれば「リベンジっていうのは新語・流行語大賞に選ばれた、最近はやりの言い回しなんだよ」と説明したいところなんですが、「最近」といっても平成11年のことになるのですね。今から19年前…君たちはまだ生まれてもいないじゃないですか!「平成の怪物」と言われたプロ野球選手の松坂大輔投手がデビューしたのがこの年ですよ。勝っても負けても騒がれた松坂投手が、試合後のインタビューで頻繁に口にしたのがこのリベンジだったのです。「リベンジします!」と宣言して、みごと次の試合でプロ初完封勝利をあげたりしていました。当時の新聞記事では、まだリベンジという言葉が聞きなれないカタカナ語として扱われていて、わざわざ日本語訳をつけて紹介されていました。その訳語というのが「復讐」「報復」というものなのです。なんだかおどろおどろしい表現ですよね。でも本来、リベンジというのはそうした意味なのです。これをスポーツの世界、特に試合の勝敗に焦点をしぼって、一度敗れたという悔しさを次に勝利することで晴らす、という意味で使うようになったことが「新語・流行語」に選ばれた理由なのです。この意味でリベンジが浸透してくるにしたがって、新聞記事でも「復讐」ではなく「雪辱」という言葉で説明されるようになりました。

 せっかくですから「雪辱」の使い方も覚えておきましょう。雪辱の「辱」については、難しい漢字ですが訓読みすると「辱(はずかし)められる」となり、意味は「はずかしい思いをさせられる」になります。次に「雪」ですが、これも訓読みすると「雪(そそ)ぐ」となり、意味は「洗い清める」になります。ですから「雪辱」で「恥ずかしい気持ちを拭い去る」という意味合いになるのです。ところで、「雪辱を果たす」と「雪辱を晴らす」、どちらが正しいと思いますか?正解は「雪辱を果たす」です。「晴らす」を使いたければ「屈辱を晴らす」が正しい用法になります。では「雪辱を晴らす」のどこが間違っているのでしょうか。ポイントは「意味の重複」になります。先ほど説明したように「雪辱」の「雪」には「拭い去る」という意味があり、これに「晴らす」という言葉をつなげてしまうと意味が重なってしまうのです。「馬から落馬しました」というように、同じことの繰り返しの表現となってしまい、これは「避けるべき恥ずかしい使い方」と認定されているのですよ。

 さて、テストでリベンジを誓ってくれた教え子君ですが、結果が出て再び宣言してくれました。「この次のテストでは雪辱を果たします!」新しい言い回しを一つ覚えましたね(笑)。とりあえずは一歩前進したと認めましょう。

 

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