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# 読書百遍

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 「読書百遍」

 

 「どくしょひゃっぺん」と読みます。「百遍」というのは「回数が多い」という意味です。中国の故事にまつわる「読書百遍意自ずから通ず」を略したものになります。「どんなに難しい文章でも、繰り返し読めば自然と意味が分かってくる」ということです。皆さんも耳にしたことがある言い回しではないでしょうか。そして「古臭い」という印象を持つのではないでしょうかね(笑)。

 「意味が分からなければ、すぐに検索!」という時代に生まれた皆さんですから、非効率的な「とにかく百回読め!」といった根性論めいた物言いには違和感を覚えることでしょう。でも、この「古臭い」という認識は今に始まったことではなく、昭和の時代から言われていました。小林秀雄が「読書百遍という様な言葉が、今日、もう本当に死語と化してしまっている」と言及していたことが思い出されます。えっ?小林秀雄って誰ですかって?「近代批評の確立者」と言われ、昭和を代表する知識人ですよ。難解な文章で知られ、受験業界では「悪名高い」小林秀雄なのです。大学入試センター試験で、国語の平均点が史上最低を記録した際の出題文が小林秀雄の文章だったものですから。当時の受験生が「イミフー!」と叫んでいたのも、まだまだ記憶に新しいところで今から五年前の2013年のことでした。読書百遍というのは、そんな小林秀雄の文章を読む際に、最も要求される姿勢だと思いますよ。死語と言われようともそれは必要なものなのです。

 でも先生!テストでは読書百遍なんてやっていたら間に合わないですし、それができないからこそ実際のセンター試験でも受験生が点数を取れなかったんじゃないですか!鋭い指摘です。時間という制限のあるテストでは、読書百遍という姿勢を貫こうとしても無理が生じてしまうということですね。もとになった故事でも「百回も繰り返し読む時間なんかありません!」という意見に対して、「ひまをみつけて読むのです。雨の日でも、夜中でも、冬の間でも」(人が活動しない時間、という意味)と答えていますからね。何年もかけて読むというスタンスのようです。それでは試験時間内に問題を解くという読解とは、前提自体が違っているということになります。

 それを承知で、あえて読書百遍を勧めるとするならばどうなるのか。一般的な読書百遍ではなく、国語のテストの読解に際して求められる読書百遍のあり方を示してみましょう。限られた試験時間内であっても「意味が分かるまでは繰り返し読むことをやめない」というスタンスは崩してはいけません!「先生、それでは間に合いませんよ」という生徒さんには「どこを読むのだと思っているのですか?」と聞いてみましょうか。「出題文を繰り返し読むのではないのですか?」という反応が返ってきそうですが、違うのです。傍線部の意味が分かるまで、設問の意図が分かるまで、選択肢の違いが分かるまで、なのです。そう、出題文ではなく設問を、意味が分かるまで繰り返し読むのです。一体何を要求しているのか。その意図が分かるまでしつこく読み続けるのです。「これしかない!」と納得のできるまで。

 書物には作者がいます。読書の目的は作者の意図を理解するということでしょう。「読書百遍意自ずから通ず」というのは、繰り返し読んでいれば作者の意図は伝わってくる、ということなのです。けれどもテストでは書物を丸ごと一冊読むということはありません。一部が切り取られて提示されているわけです。ですから作者の意図は、そもそも読み取れないと考えましょう。では何を読み取るのか。一部を切り取った人物の意図です。作問者というテストを作った人物の意図を読み取らなくてはならないのです。その作問者が書いた文章こそ、「設問」であり「選択肢」なのです。実に短い文章です。ここを百遍でも、「なぜ?」を繰り返しながら読み抜くのです。センター試験でも、小林秀雄と勝負するのではなく、小林秀雄の文章を出題した作問者との勝負だと考えて取り組まなければならなかったのですよ。君たちが高校生になった頃には、ぜひ理解しておいてほしいポイントなのです!

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