文の会ブログ

「本郷東大 文の会(ふみのかい)」のブログです!
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# ざっくりと

 「ざっくりと」

 

 「あれだけ計画通りにやったのに全部覚えることができませんでした。私って記憶力がないんでしょうか?」中学二年生の女の子です。白か黒かはっきりさせないと納得できない!という思春期真っ只中。「記憶力がない」と言い切ってしまうあたりに「全部できなければ、ゼロと同じ!」という生真面目すぎる性格があらわれていますね。

 「300語の中から出題されるという英単語のテストがあったんです。一度に長時間かけて覚えるよりも、短い時間でも毎日続けて覚えたほうがいいというアドバイスに従って、ちゃんと準備したんです。」それでいいと思いますよ。一夜漬けで覚えこんだとしても、結局身につかないですからね。それでは将来的に役に立ちませんから。「何度も繰り返して、着実に進めたのに。本番のテストで間違えてしまったんです。」といっても、9割以上は得点できたんでしょう。十分だと思いますよ。「一ヶ月も準備して、満点を取れないなんて!自分が許せないんです。」あれあれ、これは「ほぼ満点だからそれでいいんだよ」という話をしても納得しないな、と思った筆者はアプローチを変えることにしました。一ヶ月毎日継続して勉強したというけれど、どんな風にやったの?「毎日少しずつ進めました。30日間あったので、一日10個の単語を確実に覚えるという計画でした。」え?じゃあ、一つの単語は一回しか覚えるチャンスがないということ?「違います!一日に10個ずつ増やしていくつもりで、何度も繰り返しました。」どうして一日10個にしちゃったの?「え?一度にたくさんやるのではなくて、毎日少しずつやるほうが効果的だからって…」ああ、それはね、「少しずつ」の意味を取り違えているよ。少しというのは単語の量の話ではなくて、かける時間の話なんだよ。

 300個の単語を覚えようというときに、300分=5時間かけて一度に覚えようとするよりも、一日10分でいいから30日かけて合計300分使うほうが、同じ時間であっても記憶に定着するというのは間違いありません。でも、だからといって300÷30=10という計算式で、単語の量まで小分けにしてしまうことはないのです。そうではなく、一日10分で300個の単語を覚えようとするのです!そこでも、10分=600秒だから、一つの単語に2秒かけて覚えよう!などという計算式を当てはめる必要はありません。300個を「ざっくりと」10分かけて1周するのです。

 ここで登場したのが「今月の言い回し」です。ビジネスシーンなどで「今日中にざっくりと全体のプランをまとめておいてくれ」などといった用法ですっかり定着した感のある「ざっくり」という言葉ですが、少し前までは「俗語」という扱いでした。辞書に「大まかに。大ざっぱにとらえる」という意味が載るようになったのは、つい最近のことです。

 「ざっくり」というのは擬態語の一種になります。擬態語というのは、ものごとの状態や様子などを感覚的に音声化した表現です。でも、実際に音がするわけではありませんからね。「うろうろと歩き回る」という表現で、本当にうろうろと音がするわけではないですよね。では「ざっくり」はどんな様子を表したものなのでしょうか。例をもとに考えてみましょう。「キャベツをざっくりと切る」これは「力をこめて物を切ったり、割ったりするさま」になります。「傷口がざっくりと割れる」これは「深くえぐれたり、大きく割れたりするさま」ですね。「ざっくりとしたセーター」これは「布地などの手ざわりや目などの粗いさま」ですよね。この最後の用法から派生して、「大ざっぱ、大まか」という意味で使われるようになったのではないかと考えられています。

 決して悪い意味ではなく「丁寧ではなく大まかに」「細かいことにこだわらず」という語義が「ざっくり」に加わることになったのです。「ざっくりと300語を覚える」というのもそうです。丁寧に細かく覚えようとすれば、10分でできるわけはありません。そこをあえて、一語一語にこだわらずに大まかに300個をさらりと学習するのです。読解においては「自分が納得するまで、細かいところを丁寧にこだわって読み抜く」という態度が大事ですが、暗記という作業においては、一部分だけを掘り下げるよりも、全体をまんべんなく繰り返し仕上げることのほうが重要なのです。

 「じゃあ、毎日300語を30日間繰り返し学習すればよかったんですね。」その通りですが、1日10分で続けることがポイントなんですよ。毎日、何時間もかけてしまっては意味がありませんから。そのためには練習が必要だともいえます。経験を積んでこそ大まかにできるようになるのです。「ざっくり」の意味合いはそこにあるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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