文の会ブログ

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# 終わりよければすべてよし

 「終わりよければすべてよし」

 

 皆さんも耳にしたことのある表現ではないでしょうか。「ことわざ」のように感じるかもしれませんが出典のある言い回しになります。すなわち「作者」が存在する表現なのです。その作者とはウィリアム・シェィクスピア。「世界文学のスタンダード」ともいわれる数々の名作を生み出したことで知られている劇作家です。その作品の一つが『終わりよければすべてよし』なのです。戯曲(演劇の上演のために執筆された脚本)のタイトルとしては有名なのですが、実際に演じられる劇の方は人気がなかったらしく、シェィクスピアの中でも上演回数が少ない作品のひとつとして挙げられています。原題はAll's Well That Ends Well.になります。

 「終わりよければすべてよし」と聞くと、なんだか前向きなイメージが浮かんできますよね。でも戯曲の内容は問題をはらんだものです。喜劇風にハッピーエンドの体裁を取っていますが、内実は喜劇でもハッピーエンドでもないという皮肉がこめられているのです。内容通りに日本語のタイトルをつけるとすれば「結果がよければ手段は問わない」といった風になるでしょうか。

 シェィクスピアといえば、その全戯曲を翻訳したことで有名な東京大学名誉教授である小田島雄志先生は、私にとって大学の英語の先生にあたります。気さくな先生で、下北沢の定食屋なんかでご一緒することもありました。授業で印象に残っているのは『真夏の夜の夢』のお話です。日本では坪内逍遥が最初に訳して以来『真夏の夜の夢』という訳題が用いられてきていて、そのタイトルでヒットした歌謡曲があったりもします。原題はA Midsummer Night's Dream.小田島先生はこれを「真夏の夜」と訳すのは間違っている!とおっしゃっていました。「ミッドサマーというのは夏至のことで、日本でいうところの真夏にあたる季節ではない」と。ですから小田島先生訳のタイトルは『夏の夜の夢』になっています。

 さて、もう一つの思い出話にお付き合いください。私が中学生だった頃の話です。クラス担任の先生に目をつけられた私は、ことあるごとに呼び出されては注意を受けていました。やれ「勉強に集中できていない」だの、やれ「無駄なことに時間をかけすぎる」だの、なんだかんだと口を挟んでくるのです。さすがに「○○と一緒にいるのはやめるように」と、友人関係にまで文句をつけてきたときには、腹が立つのを通り越して「許せない!」とまで思っていました。それからというもの、「英語に力を入れないでどうする!」と叱られたなら、次の定期テストでは英語には目もくれず、理科と技術のテストで満点を取ったりするという、反抗を試みていました。何をやっているのだか…と今から思えばあきれる話ですが、それでも今だから気づくことは「結果的に勉強していた」という点なのです。反抗して勉強しないという方向だってありえたはずなのですが、そうするのが悔しかったというところがポイントなのです。逆説的にではありますが、その先生は私にとって「ありがたい存在」であったわけです。少なくとも「やればできるのに」などといった甘いことを口にするような先生よりはずっと助けになったと、今では思えるからです。

 こんな風に考えることができます。大切なのは「机に向かって勉強する」という行為そのものであると。生徒が何はともあれ「やってやるぞ」と決意して机の前にすわって鉛筆を握って問題に取り組む。そういう姿勢そのものが何よりも重要な意味を持つのだと。それに比べれば「どのように勉強すればよいか」というアドバイスなんて、むしろ二次的なものなのかもしれません。論理的に納得して行動を起こそうが、感情に突き動かされて「やってやる!」と決意して始めようが、「終わりよければすべてよし」なのです。

 なんだか「結果がよければ手段は問わない」というエピソードの紹介になってしまいましたが、中学生の頃には考えもしなかった内容です。結果的に勉強に向かう姿勢のおかげで、東大に合格して小田島先生の授業を受けることができたのですからね。中学の担任の先生にあらためて感謝です。

 

 

 

 

 

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